雨の降る街―Rain World というゲームについて
期末レポート以降呆けていたら、全く文章が書けなくなっておりました。
訓練もかねて購入して半年ほど放置したのち、最近クリアしたゲームについて少し書きます。
今回紹介するのは、Steamで発売されているRain World というPCゲームです。
○購入まで
とそのまえに、このゲームに至ったいきさつについて。
そもそもの始まりはツイッターで見たこちらの動画でした。
非常に短い動画で、ピンクの肉塊のようなものが飛び跳ねていることしかわかりません。ハッキリ言って意味不明。でもどこか惹かれるものがあり検索したところ、ブラウザでプレイできる簡易ビートマシンであることが判明。
本格的に音楽やったことのある人には子供だましかもしれませんが、BPMの設定やノーツの配置が直感的にできるのが楽しくて、しばらく遊んでおりました。画面を踊り狂う謎の3Dモデルも好きな部類のシュール具合です。サンプリング源やモデルを変更できるのも良かった。
そしてこんな調子のゲームをもっと作っているならタダで遊んだ分買ってみようかと、手を出したのがRainWorld。Steamでの評価が非常に高く、値段も手ごろだったので買ってしまいました。
○RainWorldについて
こうして買ったRainWorld、主人公であるSlugcat(公式名はナメクジ猫ですが、自分は白いのでハンペンと呼んでいました)はゲーム開始直後、家族と離れ離れになります。仲間を探すべく、そして荒廃した都市で生き延びるべく彷徨い歩く、そんなゲームです。
特徴は精細なドット絵、そして高い難易度です。
(右下がSlugcat)
高難易度の要因は敵、食事、そして情報不足です。
敵
食物連鎖が重要なテーマである今作において、主人公は世界を救うエリートではなく強者からつけ狙われるエサでしかありません。自然界でままあるように、敵の攻撃は一撃で致命傷になります。俗にいうヲワタ式です。よって基本的に敵とは戦わずに進んでいくことになります…一本道でなければ…
食事
逃げ回っているだけでは済まず、Slugcatも食べなくてはいけません。
なぜなら一定時間が経過すると題<Rain>の通り雨が降ってくるからです。
最初は小降りの雨はすぐに「滝」となり、所定のシェルターに避難しないと死亡します。このシェルターに入るには一程度の満腹度が必要なため、食事が不可欠なのです。
…が初見ではフィールドの何が食べられるものなのか分かりません。
情報不足
ゲーム序盤で簡単な操作説明はされますが、アクション全体の2割ほどしか教えてくれません。後は自分で操作しながら探っていくことになります。
オープンワールドなのでどの道に行けば正解というのがありません。しかしある一定のルート以外は著しく進行が難しくなるため、進んだ先でエンディングが見られるかは運です。(なお開始してすぐにラストダンジョンへ進むこともできますが、エンディングは見られませんし、帰り道が尋常でない難しさで一度詰みました。)
とまあかなりの難易度です。。また死にゲーなので基本はトライアンドエラーなんですが、DARKSOULSシリーズにあるような「レベルを上げる」という救済手段がありません。全編を通してSlugcatは全く強くならないので、技量と運、知識によって道を拓いていくしかないのが辛くもあり面白くもあるところなのでしょう。
私も当然のように詰まり、しばらく放置していたのですが知らぬ間にアップデートでEasyモードが追加されており、有志作成のmapを見ながら何とかクリアしました。
○感想
画面切り替えた先に敵がいて即死、焦って落下死、中立MOBに突き落とされて時間切れ
エサだと思ったら敵で感電死、息継ぎしたと勘違いして溺死、暗闇で突然死(敵がいる)
プレイしている間は、理不尽な死に方にかなりストレスフルでした。
しかしエンディングへ至る道程があまりにも美しく、全てを許しました。
と同時にRainWorldが「廃墟を彷徨い歩くゲーム」ではなかったことに気付きました。
(ここからネタバレあり)
○エンディングについて
Slugcatはシェルターで休憩するたびにカルマレベルというゲージが上昇していきます。
弱い生き物を殺し、食べながら進んでいくと業が深まっていくという具合です。
そしてラストダンジョンを進むには最大まで業を深める必要があります。
RainWorld各地にいるオブジェを巡り、上限を超えてカルマレベルを上げた先
ラストダンジョンの最奥には金色の湖がありました。
(この先文章で読んでも何のことかさっぱりだと思うので、プレイ予定が無い方は
動画を見た方が早いと思い、先駆者の動画を貼らせていただきました)
(この動画では13分頃からラストダンジョン最深部)
全てがドロドロに溶けあったような金色の湖を潜っていくと、
爆音とともに巨大な蛇のようなものが泳いできます。
蛇に突かれ出てきた紐のようなものに引っ張られるslugcat。
「ああここで世界蛇に吸収されるのが、輪廻転生のイメージか」
と思ったものの、抗うslugcatは拒否されたかのように放り出されます。
暗闇を泳いでいると集まってくる無数のslugcat達。
光へと進んだ彼(彼女?)を待っていたのは巨大な木。流れるクレジット。堂々の完。
自分は専門外なのですが、仏教の悟りが”輪廻を外れること”なのだと聞いたことはあります。蛇とのやり取り・カルマレベルを上げるため各地を巡ったことから妄想するのは、RainWorldが「解脱を目指す巡礼の旅」のゲームだったのではないかということ。
声を発さないSlugcatが何を考えているのか分からない以上確かなことは何も言えませんが、悟りによって殺す殺されるの世界からの脱出ができたのだとしたら、これ以上ない綺麗なEDのように思えてなりません。
そう考えれば最後に出てくる巨大な木は悟りの先にあるという全宇宙との合一、その比喩に見えてこないでしょうか。